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糸リフトが効くタイプかどうかのセルフチェック方法と糸の種類

20250224 #ブログ

ここ数年、糸を使用した治療が非常に盛んになっていますが、糸には色々な種類があります。本日は糸の治療でどんなことができるのか、またどんな人に向いている治療なのかを解説します。

糸リフトとは

医療で使用される糸には、色々な素材のものがありますが、大きく分けて「溶けない糸」と「溶ける糸」の二つがあります。体の手術で使う糸は、その使用する場面で使い分けられていて、溶けない糸は長期間にわたり保持する必要のある組織に使用されたり、後に抜糸して取り除く場面で使用されています。一方溶ける糸は、一定期間過ぎると分解・吸収され組織に馴染んでいきますが、この時に糸の周囲にコラーゲン組織を増やすことがわかっています。その特徴を生かし、美容領域では様々な形状の糸を使用してたるみや肌に対して治療を行っています。皮膚にこの溶ける糸を入れ込むと、糸が溶ける時に皮膚にコラーゲンを増やして肌質を改善させたり、トゲが付いた糸ではリフトアップ効果を出したりすることが可能です。

長い糸と短い糸

糸にはトゲトゲの付いた少し太さのある長い糸と、髪の毛のように細くて短い糸があり、求める効果によって使い分けます。

「糸リフト」と言うときには、通常20cm近い長さがありトゲトゲのついた長いタイプの糸を指すことがほとんどで、そのトゲトゲを皮膚の中に引っ掛けることでたるみのある皮膚を持ち上げます。一方、短い糸は2~5cmの長さで髪の毛のように非常に細く、ショートスレッド、モノスレッド、美容針などと呼ばれることがあります。長い糸のようなトゲトゲは無いため、皮膚を持ち上げるといった効果はありませんが、広範囲に挿入して肌質を改善させたり、部分的な引き締め効果を狙った使い方が可能です。

糸の種類

特に長いタイプの糸についていうと、素材の種類にPDO(ポリジオキサノン)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLLA(ポリ乳酸)などがあります。素材によって体内で吸収されるまでの時間や糸のしなやかさなどに差があります。また、皮膚に引っ掛けて釣り上げる役目として重要な働きをするトゲトゲは「コグ」と呼ばれ、このコグの形状や大きさにも種類があります。糸の選択は、リフトアップしたい部位、肌質、求める効果の強さ等を考慮して選択する必要があります。

糸リフトが向いているかどうかのセルフチェック

まずは、鏡を持って、仰向けに寝転がるかもしくは真上天井の方を見るようにして、鏡も真上に持ち上げて自分の顔を見てください。この時鏡に映る姿は、たるみが適度に後ろ側に流れ、自然に改善した状態にあるはずです。次に、片手の手のひらを耳の手前に当てて押さえたまま元の姿勢に戻り、普通に前を向いた状態の輪郭を鏡で確認します。

この時鏡に映った姿は、糸リフトでたるみを治療した仕上がりのイメージに近いものになります。耳の前に手を当てて押さえてみても、押さえていない側の顔とフェイスラインの状態がほとんど変わらない場合には、たるみがほとんどない理想的な状態であり、糸リフトの治療は必要ないと言えます。一方、手で押さえられた状態が理想のフェイスラインになっているようであれば、糸リフトで効果的な結果が得られるタイプであると言えます。

糸リフトの効果が出にくいパターン

糸リフトは、実際に皮膚を移動させて固定するので強力なリフトアップが可能ですが、それでも効果が出にくいシチュエーションが存在します。

  • ・たるみが強すぎる
  • ・皮膚の中の組織が弱く、糸のコグが引っかかりにくい
  • ・治療に使用する糸の本数が少ない
  • ・皮下脂肪が多すぎる

糸リフトでは皮膚を移動させて持ち上げることが可能ですが、持ち上げたい部分の脂肪量が多く重さがある場合には、必要になる糸の本数が多くなったり、持ち上げ効果が少ない、持続が短いなど、満足度が低い結果になることがあります。また皮膚のたるみが強すぎる場合にも、余った皮膚の行き場がなく、たるみを完全に解消できないという状況になりやすいため、治療前の医師の診察が重要になります。

糸リフト単体では効果が乏しいと予測される場合には、皮下脂肪が多すぎる際には脂肪吸引手術などと組み合わせたり、たるみが強すぎる場合には切開によるリフトアップを検討したりします。

糸リフトの施術の際に考慮すること

糸リフトの施術のリスクには、次のようなものがあります。

  • むくみ
  • 内出血
  • 熱感
  • 違和感
  • だるさ
  • 挿入部の突っ張り感
  • 引きつり感
  • 傷跡の痛み
  • 感染症
  • アレルギー症状(蕁麻疹・呼吸困難・アナフィラキシーショックなど)

気になるダウンタイムの期間は、個人差はありますが最大でも2週間程度です。施術部位に腫れや内出血、熱感、痛みなどの症状が出る場合がありますが、施術後数日で改善するのでご安心ください。施術から1ヶ月程が経過すると、大きな腫れやむくみ感はほとんどなくなり、よりすっきりとしてきます。一時的な皮膚の凹凸、口の開きにくさなどの違和感や皮膚の引きつれは2週間以内で馴染んできます。実際には、慣れた医師が行う場合にはより短時間で腫れもそこまで目立たずに終わることがほとんどです。

効果の持続は、たるみや皮下脂肪の程度、治療に使用する糸の本数と種類、糸の挿入方法等の影響を受けますが、しっかりとした引き上げ効果を感じる期間はおよそ6ヶ月から1年で、繰り返して治療している方では持続時間が長くなっていきます。必ずしも治療を継続していかなければならないということはなく、糸リフトの効果が出ている期間はたるみが進行しにくい期間であると捉え、生活スタイルや目的に合わせてご自分のペースで治療を取り入れることが可能です。