NEWS

ボトックスについて詳しく知りましょう

20250301 #コラム

ボトックスとは、A型ボツリヌス菌毒素製剤で、神経の伝達をブロックする特性があります。「ボトックス注射」という呼び方は、国内で唯一厚生労働省の承認を取得しているアラガン社のボツリヌストキシン製剤「ボトックスビスタ®」に由来しています。ここでは、A型ボツリヌス菌毒素製剤に関しての説明を、なじみのある呼び方「ボトックス」に置き換えて説明していきたいと思います。

ボトックスの作用機序

末梢の神経筋接合部の神経終末内ではアセチルコリンという神経伝達物質が放出されています。ボトックス注射の注入により体内に取り込まれたA型ボツリヌス毒素は、アセチルコリンの放出を抑制します。これにより神経筋伝達が阻害され、緊張した筋肉が緩みシワが解消されるのです。遮断された伝達は数ヵ月で回復しますので、効果を維持するためには反復投与が必要となります。 効果の持続期間には個人差があり、国内外のデータでは通常4~9ヵ月とされています。

筋肉と汗に効く

ボトックスは神経から筋肉へのアセチルコリン伝達を抑制すると筋肉の動きをおさえるので、これによって表情筋による表情ジワを治療することができます。表情ジワとは、顔に力を入れたときにできる筋肉によりシワのことで、眉間の縦ジワや、目尻にできるカラスの足跡などがあります。また同じように筋肉に効かせることで、エラ張りの改善やふくらはぎ痩せが可能です。またボトックスは、筋肉以外にも神経から汗の腺へのアセチルコリン伝達を抑制することができるため、ワキ汗など汗の治療にも有効です。

【表情ジワ】額、眉間、目尻、目の下、鼻根、バニーライン、目頭、アゴ、口上など

【筋肉を小さくする】エラ、ふくらはぎ、二の腕など

【汗の抑制】ワキ、手のひら、頭皮、乳輪、陰部など

表情ジワ

シワには、皮膚が薄いためにできてしまう目周りのようなシワと、くぼみが進行して目立ってくる法令線のようなシワと、しかめっ面をしてできる眉間の縦ジワのような表情ジワなど色々なシワがあります。ボトックスは上述のように筋肉の動きを制限してシワを予防する治療ですので、皮膚が薄くてハリが低下してできるシワや、くぼみが原因でできるような、いわゆる無表情の状態でもできているシワには効果を発揮しません。表情を作ったときにできるシワが表情ジワであり、ボトックスの良い適応となるシワです。

エラ張り改善・ふくらはぎ痩せ

奥歯の噛みしめや歯ぎしりなどで発達したエラの筋肉(咬筋)をゆるませボリュームダウンすることで、フェイスラインをスッキリと小顔に変化させることができます。ボトックスを注射した筋肉が使いにくくなってボリュームが減る(筋肉が萎縮する)作用は廃用性萎縮と言い、同様の作用機序でふくらはぎや二の腕の発達し過ぎた筋肉を痩せさせてほっそりと見せることが可能です。

多汗症

ワキなど局所的に汗を多くかく場合にもボトックスでの治療が有効です。エチケットとして治療される方もい多いのでワキの治療が最も多いですが、その他に頭皮、手のひらの多汗症にも有効です。一方で、ワキ、乳輪、陰部のニオイ治療(ワキが治療)にも一定の効果があります。

ボトックスの持続期間

ボトックス注射の効果は、約3ヵ月~4ヵ月と言われています。治療部位や個人による差がありますが、通常2~3日で効果が現れ始め、2週間で安定し、その後3~4ヵ月間程度持続したあと、時間の経過とともに徐々に効果が消えていきます。この場合、再注入することによって同様の効果が現れます。また、治療部位にもよりますが、定期的に治療を繰り返していく場合に効果の持続期間が長くなってくるメリットもあります。大事な予定やイベントなど目標がある場合は、効果の安定や内出血のリスク等を考慮し、半月から1ヵ月くらい余裕を持って治療を受けることがおすすめです。