ボトックス注射の際に内出血のリスクが高い部位
20250307 #コラム
注射の治療を受ける際に注意するべきリスクの一つに内出血があります。これは治療の効果の良し悪しに関係なく、注射をするからには必ず考えておかなければならないリスクで、出てしまうと治るまでに1~2週間の日数がかかります。大事なご予定前に受けたくなる美容施術ですが、効果が一番高い時期を計算して予定を立てるだけではなく、治療後のダウンタイムと呼ばれる時間も計算に含めて治療スケジュールを調整する必要があります。
内出血とは
皮下出血のことで、皮膚の内側にできた出血のことを指します。皮膚が薄い部位や、皮膚の浅いところにできた内出血は赤っぽいですが、少し深い部分にできた内出血は青く見えます。また、時間とともに消退していく過程で黄色っぽい時期が見られることもあります。
ボトックスで内出血しやすい部位
ボトックス注射の治療に10年以上ずっと関わってきたからこそ言える【内出血が出やすい部位】を、具体的なデータを取っているわけではないのですが、当院の独断と偏見で言わせてもらいます。
上位ベスト5は以下の通りです。
- ・目周り
- ・エラ
- ・アゴ
- ・眉間
- ・額
目周りは毛細血管が特に多く、また皮膚が薄いので内出血が出た場合に非常に目立ちやすい部位です。血の出方(範囲、大きさなど)は、どのくらいの出血があったかによって決まりますが、注射の際に血管そのものにピンポイントで当たってしまった時が一番激しく出血します。例えば採血のために注射した部分に出る腕の内出血は、そこの血管がある程度しっかりしていて血流も多いので、採血の際に出た内出血は広く濃く出てしまう可能性が高いです。一方ボトックスの注射をするときは、見えるような血管は刺さないように注意して行うのですが、肉眼では確認できない細い血管がたくさんあって、それに運悪く刺してしまって内出血をきたします。目周りの内出血はマスクなどでも隠しにくいため、施術者が特に慎重に治療にあたる部位でもあります。
エラボトックスで見られる内出血は、正直なところ、施術者の努力ではどうにもできないことが多いのが特徴です。血管の走行を目で見てよく観察すると、青い筋として見えることが多く、可能な限りこの血管に刺さらないように注射の針を進めます。しかしエラボトックスで治療するエラの筋肉は、厚みが大きく針を深いところまでしっかりと刺す必要があります。当然、深いところにある血管は目視できず避けようがないので、結果として針が刺さってしまい内出血をきたしてしまうリスクも高くなります。しかし血管を透視できる機器がありますので、そういう準備のある施設で治療を受ける場合には内出血のリスクをゼロに近くすることが可能です。
アゴや眉間も比較的内出血がしやすい部位です。この二つの部位は、注射後に針穴からにじむ出血が止まりにくいのが特徴です。ボトックス治療は、そもそも狙った筋肉に薬剤を注射するものなのですが、筋肉は血流が豊富なので注射で出血しやすい状態にあります。そのため、手技上では筋肉内にしっかりと打ち込むことになるアゴや眉間は内出血しやすい傾向にあると言えます。
額の内出血リスクに関しては、上記の理由とは別の理由で内出血のリスクが高い部位と言えます。額のボトックスでは、個々の額の大きさに応じて、5~10回の穿刺回数があり、これは他の部位の約2倍の穿刺回数にあたるため、内出血リスクが高くなる傾向にあります。また額も目周り同様に皮下脂肪が薄くて内出血が目立ちやすい部位です。
内出血を極力抑えるために
実際に内出血が出るか出ないかは、
- 施術者の技術と配慮
- 施術する部位の出やすさ
- 血管の脆弱性
- 易出血性
- 血圧
- 止血の方法
- 帰宅後の過ごし方
上記のような様々な要因が絡んで結果として起こり得るもので、確実にゼロにするのは至難の業です。
使用する注射針を極力細いものにしたり、痛みを和らげたり、リラックスした状態で治療を受けることで血圧の上昇を抑えたり、内出血を予防するクリームの使用検討したりと、様々な工夫をして当院では治療にあたっております。それでも内出血が出てしまった場合には、その痕がきれいに消えてなくなるまでに1週間前後の日を要します。そのため注射治療を受ける際には、リスクに備えたスケジュールで治療を受けることをおすすめします。
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